武蔵野美術大学は、未来型の美大を模索し”拓かれた美大”を社会実装するために 2019 年に 新学部(造形構想学部)/ 新大学院(造形構想研究科)を創設し、同時にソーシャルクリエ イティブ研究所(略称 RCSC)を併設して新たな研究・教育・コミュニティの拠点として市ヶ谷キャンパスをオープンしました。いわば美大として初めて長年培ってきた造形教育を 通じて育まれる「創造的思考力」に着目した新しいデザイン教育が学部クリエイティブイノベーション学科や大学院クリエイティブリーダーコースで展開されており、それを中核とした社会人向け履修プログラム(VCP)や様々な産官学プロジェクトが展開されています。

 

それらが完成年次を経て次なるステージに向かうに当たって、このたび2024年3月に武蔵野美術大学(ソーシャルクリエイティブ研究所)と立命館大学(デザイン科学研究所)が“学術交流に関する協定”を締結したことを周知するとともに、今後の共同研究のテーマ探索や新たな企 業や地域でのデザインマネジメントのあり方等について問題提起するキックオフ的な記念フォーラムを開催する運びとなりました。

 

その第1回目となる今回は、デザイン経営やデザイン思考が企業や地域に拡がりをみせて いる状況下で、デザインマネジメントに関わる潜在的な本質的課題について多角的な専門 的視点により論議したいと思います。従来その課題は企業や地域という個別の括りで見られがちでしたが、そこに通底する基本的課題は共通視点で捉えることが可能なのではない でしょうか? また両者に求められる突破型の人材を仮に“野武士クリエイター”と呼ぶなら ば、その存在を発掘しながら仮説検証していくことも我々の重要な研究テーマのひとつだと考えています。本フォーラムではその事例紹介や議論を積み重ね、参加者の方々と革新的なデザイン人材教育の水脈を辿っていく”知的探索の場”となれば幸いです。

 

今後はこれを皮切りに東京と京都という両大学のホームグラウンドを行き来しながら、地 域文化特性に応じた「創造的思考力」にも着目した教育研究活動や多彩な産官学プロジェク トの企画推進に貢献したいと考えておりまずので、みなさまのご協力・ご支援をよろしくお願いいたします。